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神様のお食事、御神饌(ごしんせん)について

伊勢神宮

御神饌とは?

御神饌(ごしんせん)とは、神社でのさまざまな行儀・節目の時やそれぞれの家庭の神棚にお供えする食べ物の総称です。言い換えるなら「神様のお食事」になるものの名前となります。また神様が食べるお食事の事を御饌(みけ)、神様が飲むお酒のことを御贄(みにえ)ともいい、神事の際や家庭の神棚にお供えすることで神様を迎え、お祝いするためのものとされています。

1番身近で多くの家庭がお供えしているものに「鏡餅」があるかと思いますが、これも年末年始の節目にお供えする御神饌の1つです。
 

一般的な御神饌

神様のお食事となる御神饌は、お米・お酒・塩・水をお供えすることが一般的とされています。お米や塩・水は毎日取り換えることとされていて朝と夕方の2回お供えすることが一般的ですが、朝のみお供えするなど地域によってそのお供えをする方法はそれぞれです。またお酒に関しては、毎月1日と15日の2回変えることが一般的とされていて、このお酒を変える日を「月次祭(つきなみさい)の日」とも呼ばれています。神社での神事や祭事の時には、これら以外にもその土地・季節によってさまざまなものがお供えされます。

御神饌をお供えする食器類も、家庭の神棚であれば日常的に使っている食器よいとされていますが、神社などでお供えされる時には「三方(さんぼう)」と呼ばれる御神饌を乗せるための台の上に食器を置き御神饌をお供えるようになっています。
 

伊勢神宮での御神饌

御神饌にはお供えするものによってさまざまな種類があり、その土地特有の伝統を代々継承し続けている御神饌は「特殊神饌」と呼ばれています。日本を代表する伊勢神宮でもこの特殊神饌が行われています。

毎日朝と夕方2回に加え、年間を通してさまざまな節目・祭事でお供えされる御神饌は、1500回以上にもなり、雨などの悪天候の時でも欠かすことなく続けられてきています。御神饌としてお供えされるものも、御飯三盛、鰹節、魚、海草、野菜、果物、御塩、御水、御酒三献と決められていて、これらすべてを準備して辛櫃(からひつ)と呼ばれる御神饌や御神宝を入れる専用の木箱に入れて御饌殿にお供えされます。これらの祭典を通して、国の安定や国民の幸福、収穫の感謝などを捧げています。

 

海の博物館所蔵模型
海の博物館所蔵模型

 

伊勢神宮での御神饌の詳細

伊勢神宮では年間1500回にも上る数の御神饌を滞りなく毎年お供えしています。その中でも特に大切にされているのが、毎日朝夕の2回お供えする「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」と、10月に行われる収穫されたばかりの新穀をお供えする「神嘗祭(かんなめさい)」の2つです。

日別朝夕大御饌祭は、内宮の天照大御神(あまてらすおおみかみ)の御饌都神(みけつかみ)というお食事の神様である豊受大御神(とようけのおおみかみ)が外宮に鎮座して以来、約1500年続く伊勢神宮の恒例祭典とされています。日別朝夕大御饌祭は、毎日朝と夕方の2回、禰宜1名、権禰宜1名、宮掌1名、出仕2名によって行われています。前の日の夜から神職によって作られた御神饌を、内宮と外宮・別宮それぞれの神様にお供えし、「国安かれ、民安かれ」と祈り、国の安泰、国民が幸福であるようにと祈りが捧げられています。

伊勢神宮の祭典の中で最も重要な祭典の1つとされているのが、神嘗祭です。10月の収穫時期に行われる神嘗祭は、天照大御神に収穫の感謝を捧げる祭典とされていて、古来よりお米を主食としてきた日本人にとって大切な祭典として位置づけられています。10月15日から25日まで続く神嘗祭では、午後10時と午前2時の2回御神饌がお供えされ、それぞれ由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)・由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)と呼ばれています。由貴大御饌はこの上なく神聖で立派な食事という意味で、朝・夕で山や海・川などで採れるお供え物が取り揃えられ、収穫の感謝の念が捧げられます。

 

自給自足される伊勢神宮の御神饌

伊勢神宮の御神饌としてお供えされるものは、昔はさまざまな領地から送られてきたものを使用していましたが、1871年からは原則自給自足の制度へと改定されていて、今では御神饌のすべてが、神宮の領地で作られています。これらの領地は一般の人が立ち入ることが出来ないようになっていて、収穫などの作業で入るときも身を清めて入るなど、とても神聖な土地とされています。

お米を育てている「神宮神田」は、2000年も前に定められたとの伝承がある歴史と伝統のある場所です。この地で採れた新米には神嘗祭でお供えされ、稲の育成の節目に合わせて豊かな実りを願う祭典などが行われています。

祭典でお供えされる野菜や果物は「神宮御園」で栽培されていて、その種類は50種類以上に上ります。祭典によってお供えされる数や種類が決まっており、また大きさにも厳格な決まりがあるため、それにあった大きさに育つように細心の注意が払われています。

御神饌としてだけでなく、祭典の前のお清めとして使われる御塩は、伊勢神宮にとってなくてはならない重要なものです。その御塩も伊勢神宮では昔ながらの製法で、1工程1工程丁寧に人の手によって作られています。これは神宮神田同様に2000年も前に定められたとされています。

海の幸である鰒(あわび)や鯛も伊勢神宮では自給自足をしています。鰒調整所の歴史も古く、その起源は2000年前とされていて、現在でも昔ながらの方法で作られています。御神饌の中でも大切とされている鯛は「干鯛」としてお供えされ、神嘗祭を始めとした重要な祭典である「三節祭」の御神饌となっています。

これら以外にも神様が身に付ける「神御衣(かんみそ)」や、御神饌をお供えする「土器」なども自給自足されていて、神聖な伊勢神宮の祭典を支えています。

 

色々な種類の御神饌

御神饌は、お供えされる状態によって大きく3種類のものに分けることができます。1つが「生饌(せいせん)」と言われる御神饌で、火を通す・煮込む・干すなどの調理を加えず、素材そのままの状態でお供えするものです。現在の御神饌はこの生饌が一般的とされています。

2つ目が「熟饌(じゅくせん)」と言われる御神饌で、生饌とは異なり調理や加工を行った御神饌です。1871年に出された祭式次第以前は、この熟饌が一般的な御神饌でした。その時代の生活にあった方法でお供えするということが本来の意義であったため、この熟饌が選ばれていました。

3つ目が「特殊神饌(とくしゅしんせん)」です。日本全国には代々伝統的な熟饌を受け継ぎ、現在もその形式を守り続けている神社があります。これらの神社では、その地域でしか見られない特徴を活かした御神饌をお供えするようになっていて、一般的な御神饌とは異なっているため特殊神饌と呼ばれています。伊勢神宮の神嘗祭でお供えされる由貴大御饌もこの特殊神饌に分類されます。

 

神様に捧げられる御料 

御神饌などの神様に捧げられるものを「御料(ごりょう)」とも呼びます。この御料の育成や栽培を行っている土地は「御料地」と言われ、とても神聖な土地に位置づけられるため一般の人が入ることが出来ないようになっています。伊勢神宮では神宮神田や神田御園が御料地にあたり、御神饌としてお供えされる作物が作られています。

御料として捧げられるものの基本は、お米・塩・水・酒の4種類でそれぞれ重要な意味合いもあります。
お米は神様の主食になるとともに、お米作りを通してその有難みを感じ、収穫の喜びを分かち合うためにも大切なものです。
塩はすべての生命の源である海から作られ、生きていくうえで欠かすことのできない重要な栄養源としての役割だけでなく、お清めの際に使用されるなど、神聖な食材としての役割を担っています。
水も塩と同様に生きる上で必要不可欠なもので、お清めなどにも重要となります。また天然水・水道水のどちらのものをお供えするときも、朝1番に取れたものをお供えすると縁起がいいとされています。
最後にお酒は、これらお米・塩・水の3つから作られるものであり、お清めとしての役割を果たすため欠かす事のできないものとなっています。

これら4つを基本としながら、以下のような品目も御神饌としてお供えされることが多くあります。

  • 米の加工品:お正月に飾る鏡餅やお米で出来たお菓子の唐菓子。
  • 海産物:鮭やブリなどで中でも鯛が1番格式の高いものとされています。
  • 鳥肉:御神饌として豚肉や牛肉はタブーとされ、鶏や鴨などの鳥肉がお供えされます。
  • 野菜・果物:旬のものをお供えすることが多く、祭事よって数や種類が異なります。
 

「神宮明治祭式」より
「神宮明治祭式」より

 

御神饌を頂く「直会」

「直会(なおらい)」とは、神事の際や神棚に御神饌としてお供えしたものを下ろし、その場にいる全員でいただくことを言います。神様が召し上がったものをいただくことで神様との結びつきをより強くして、その恩恵を受けることを期待して行われている行事の1つです。この神様と同じものを食べてその恩恵を受けることを「神人共食(しんじんきょうしょく)」と言い、日本の祭事の象徴的なものの1つとなるものです。

また直会の語源は「直り合い」ともされており、祭事中の「斎戒(さいかい)」という神聖で非日常的な生活から、直会を行う事ですべての祭事が終わり、「解斎(げさい)」という元の日常生活に戻ることを意味しています。そのため直会を行う事は、神様の恩恵をその身に受けるとともに、その恩恵を持って豊かな日常生活を送るという日本の伝統を引き継ぐ重要な行事となっています。

身近な直会には、お祭りなどでいただく御神酒があり、簡略化されたものとして一般的なものとなっています。御神酒は、御神饌の中でも重要なお米・塩・水から作れており、調理をせずにその場にいる多くの人といただけることから、直会の象徴的な行事となりました。

このように御神饌は、神様への感謝を捧げるとともにそれをいただくことで神様からの恩恵も受けるという、日本にはなくてならない大切なものとなっています。